2019年5月26日日曜日

Frittelle di Bianchetti 釜揚げしらすのフリッテッレ

春漁の最盛期を迎えたしらすをチーズやパセリを混ぜた衣にくぐらせ、スプーンで高温の油に落としさくっと揚げたしらすのフリッテッレ。
フリッテッレといえば粉砂糖をふった甘い揚げ菓子もおなじみですが、しらすやカリフラワーで作る南イタリア風も定番です。

しらす漁が最盛期を迎えています。
旬は春と秋、とりわけ春先というイメージが強いシラスですが、実際は禁漁期間となる真冬を除いてほぼ一年中水揚げがあります。
そして一年のうちで最も水揚げが多くなるのが実は5月。
兵庫県(淡路島)、愛知県(三河湾)、静岡県(駿河湾)あたりが国内有数の産地で今がまさにしらす漁のピーク、この三県で国内の漁獲高のほぼ半分を占めています。
最近では湘南しらす丼などもご当地名物になっていますが、神奈川県の国内シェアは現状では1%もありません。

しらすはご存じのとおりイワシ(主にカタクチイワシ)などの稚魚。
つまり一応は青魚ということになりますので、足が早い=非常に鮮度が落ちやすいんですね。
近頃は生のまま急速冷凍して生しらすとして流通したりもしてますが、生のしらすなど本来は産地でしか味わえない旬の味覚。
通常は水揚げされたらすぐに産地で釜茹でにして、天日で干すなどして加工してから出荷されます。
ふっくらと茹で上がって水分をたくさん含んでいるみずみずしいものが釜揚げしらすで、これも旬の時期ならではのもの。
そして、軽く干して水分量を減らし、しっとりしていつつも魚の干物のように保存性を高めたものがおなじみのしらす干しです。
このしっとり感の残るしらす干しは関東好み、関西ではもっとしっかり乾燥させたものが好まれます。

売場に行くとごく普通のしらす干しの他にもちりめんじゃこやカエリ、小女子(コウナゴ)など、似て非なるものがいろいろとあり、何がどう違うのかよくわからなかったりしますよね。
関西で好まれるしっかり乾燥させたシラスが縮緬じゃこ。
じゃこは漢字で書くと雑魚なので、つまり本来のシラスの定義でもある色が透明な種類のイワシなどの稚魚だけでなくイカナゴなどいろいろな魚の稚魚が混ざったものを干したのがちりめんじゃこ。
なのでそもそも関西ではシラスという呼び方もあまりしません。
イカナゴの稚魚はお腹が赤いので、関東では小女子と呼んでシラスとは区別しています。
そして透明なイワシの稚魚もやがてウロコなどが形成されイワシらしい銀色の幼魚に成長しますが、これを干したものがカエリです。
なんだかわかったような、わからないような。笑

さて、地中海料理に欠かせないアンチョビはカタクチイワシを塩漬けにして発酵させたものなので、産地のナポリやシチリアなど南イタリアやリグーリア州では伝統的にしらす漁も行われてきました。
食べ方はパスタピッツァはもちろん、オリーブオイルをまわしかけてレモンを搾っただけの前菜、今日のようなフリッテッレも定番です。
フリッテッレってなんかフリットの親戚みたいな名前ですが、どちらも揚げもの料理には違いないんですが、フリッテッレの方がフリットより生地の割合が多く、生地のさくさくした食感も一緒に味わう感じ。
だからタコやイカはフリットですが、細かくてばらばらになってしまうシラスなんかはフリッテッレにするんですね。

フリッテッレのレシピもバリエーションがいろいろありますが、今日は小麦粉にチーズとパセリを加えたバージョン。
ワインのつまみはもちろん小腹がすいたときのおやつにもおすすめ。
塩味がきいてるのでそのままひと口でどうぞ。





Ingredienti (per 4 persone)

釜揚げしらす300g
小麦粉大さじ5
ベーキングパウダーひとつまみ
適量
黒胡椒適量
パルミジャーノ適量
プレッツェーモロ15枝
氷水適量
サラダオイル適量
オリーブオイル適量
レモン1/2個

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

小麦粉にベーキングパウダーをごく少量混ぜます。
しらすと下味の塩胡椒、粗みじん切りのプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)、パルミジャーノを削り入れて氷水で溶きます。

ここに卵を加えるレシピもあるんですが、今回はきつね色というよりは白っぽい色に揚げたかったのと、さくさくの食感にしたかったので卵は入れていません。
でもとくに決まりはないのでお好みでアレンジしてください。

揚げもの用の鍋にサラダ油を加えて火にかけ190℃に熱します。
香りづけにオリーブオイルを少量加えますが、オリーブオイルが多いと仕上がりがべちゃっとしますのでほんの香りづけ程度にします。
タネをスプーンですくって油に落とし、ばらけるようなら箸かトングで素早くまとめてゴルフボール大に丸めて揚げていきます。

丸いので表裏がなくひっくり返しづらいですが、均等に火が通るように動かしながら揚げていきます。
油を切って皿に盛り、岩塩と黒胡椒を挽きかけ、レモンを搾りかければ出来上がり。

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