2020年9月6日日曜日
Linguine con Gamberetti Bianchi 白海老のペペロンチーノ
富山湾の宝石とも呼ばれる希少な素材をたっぷり贅沢に使い、オイルに海老の香りを移したとても香ばしい一皿です。
9月に入りましたね。
まだ残暑が厳しくて秋と言われてもピンときませんが、ふと空を仰げば雲の流れも夏のそれとは変わってきていたり、やかましい蝉の声だっていつのまにか勢いを弱め朝晩はコオロギなど秋の虫の音も聞こえたり、時おりこれまでの猛暑が嘘のように涼風が吹いたりもします。
季節の変わり目なので長雨や台風に見舞われたりしますが、一雨ごとに気候は秋へと向かいます。
涼しくなってくると食欲もだんだん増してきます。
市場には夏野菜や夏の魚介類がまだまだあふれている一方、秋のものもちらほら目にするようになります。
そんな初秋の頃の献立は夏の名残りのものが中心でよく、無理に季節を先取りしたりせず、秋を感じるものも少しづつ織り混ぜて構成するのが良いとされています。
また、夏の間は閉口していたような油っこいものや、温かい汁物などもだんだん美味しく感じられる時期。
食欲も出てくるので一人前のボリュームも少し増やしましょう。
涼しくなると食べたくなるもののひとつがペペロンチーノ。
にんにくの香りやとろりと乳化させたオイルソースがパスタに絡んで、この時期たまらなく食欲をそそります。
本来は具は何も入らないですが、タコやイカといった夏っぽい魚介類や青唐辛子などの夏野菜を加えると初秋らしい一皿になります。
今日の白エビもどちらかといえば夏の名残りの素材。
漁期はほぼ通年ですが、しいていえば夏が旬とされています。
白海老は富山県特産の希少なエビで市場関係者にはよく知られた存在。
日本沿岸にしか生息しない固有種とされ、富山湾だけでなく太平洋側の遠州灘や駿河湾、相模湾などにも生息しているらしいですが、商業的に漁が成立するのは富山湾だけなんだそうです。
シラエビはちようどサクラエビをひとまわり大きくしたようなエビで、色は無色透明で微かにピンクがかっていますが、水揚げすると乳白色になるため白エビの名がつけられました。
浮遊性で昼は深海に潜っていますが夜になるとプランクトンなどの餌を求めて浅い海域まで浮上してきます。
そうなんです、姿も生態も桜海老とよく似ているんです。
桜海老が駿河湾の宝石なら、白海老は富山湾の宝石。
富山湾では神通川や庄川が流れ込む先に海底谷があり、そこに白エビが集まっていることから、それを狙って漁獲します。
水揚げされた白エビは非常に傷みやすいため、以前は産地の周辺でしか食べることができませんでした。
しかし、今では生身での流通もある程度可能になってきました。
生(冷凍)で流通させるメリットは、ねっとりと甘くて美味しい刺身が産地でなくても食べられること。
ただし白エビの刺身は殻を剥いて剥き身を食べるんですが、その殻剥き作業が大変手間がかかるため、どちらかというとプロ向き。
家庭で使うなら産地で釜揚げにしたものを求める方が使い勝手がよく、生ではないけどそのまま殻ごと刺身で食べたり、殻ごと香ばしく揚げた素揚げやかき揚げが定番です。
白エビをイタリアンに仕立てるならフリットかパスタがおすすめ。
桜海老と味わいが似ているので、パスタなら桜海老のペペロンチーノと同じ要領で作ればいいと思います。
高級店でやりがちな仕上げにカラスミを散らそうかとも思いましたが、せっかくの白エビの味と香りがぼやけてしまうのでやめました。
ここはリストランテではなくイタリア食堂なので。
その分、ペペロンチーノと言えど手を抜かずにしっかり作ります。
ヘルシーにしようなどとオリーブオイルの量を少なくしたりすると美味しくできません。
茹で汁も思ってる以上にたっぷり加えてからとろりと乳化させ、茹でたパスタにソースをしっかり吸わせること。
盛りつけしてる間も食べてる間も、パスタは水分をどんどん吸うので、家庭ではちょっと汁気が多いかなぐらいにします。
Ingredienti (per 2 persone)
リングイーネ | 220g | ||
にんにく | 2片 | ||
シラエビ(釜揚げ) | 80g | ||
唐辛子 | 2本 | ||
オリーブオイル | 大さじ4 | ||
プレッツェーモロ | 10枝 | ||
塩 | 適量 | ||
黒胡椒 | 適量 | ||
パスタの茹で汁 | レードル2杯 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
にんにくは薄くスライスに、プレッツェーモロ(イタリアンパセリ)は粗みじん切りにします。まずは深鍋でパスタを茹で始めます。
フライパンにオリーブオイルをしいて弱火にかけ、唐辛子とにんにくを加え、にんにくの香りが出できたら白エビを加えます。
白エビの1/4ほどを木べらで潰しペースト状にしていきます。
海老に塩気があるので味を見て必要なら塩と胡椒をふります。
パスタのグルテンが十分に溶け出た頃合いの茹で汁をフライパンに加えフライパンを小刻みに揺すってソースをとろりと乳化させます。
パスタは表示よりやや早めに上げ、フライパンに移したら手早くあおりソースを吸わせながら煮含めていきます。
もう一度味を見て必要なら塩で味を調整します。
皿に盛って黒胡椒を挽きかけ、刻んだパセリを散らし、オリーブオイルをさっとまわしかければ出来上がり。
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