2020年7月5日日曜日

Polpo alla Luciana 夏蛸のルチア風

旨みの乗った初夏のマダコの脚を姿煮のようにワインのコルクと一緒にトマトで煮込んだ、こてこてのナポリの郷土料理タコのルチア風。
コルクと一緒に煮ると軟らかくなるなんて科学的な根拠はないですが、ほろほろに軟らかくしたいのでついやってしまうおまじないです。

7月に入り2020年も半分を折り返しました。
ちょうど梅雨のさなかですが、今年は梅雨入り早々から雨の量が多く、北陸や九州などで河川の氾濫や土砂災害が相次いでいます。
熊本などは震災からの復興すらまだ道半ばだというのに、そこに加えてこんな苦行まで強いるなんて、神様は何を考えているのでしょうか。
災害に遭われた方々には心からお見舞い申し上げます。
梅雨の時期の雨は通常はこれから梅雨明け近くにかけて激しさを増していきますので、今後とも厳重な警戒が必要です。
どうぞお気をつけてください。
そして、鬱陶しい梅雨なんて早く明けて、きらきら眩しい夏がやっぱり待ち遠しいですよね。

さて、今日の食材はタコ。
一年を通してあまり明確な旬がないと言われていますが、土用のタコは親にも食わすなという諺があったり、麦わらダコの呼び名があるなど、比較的夏場に美味しくなるとされています。
さらに、関西では半夏生の頃にタコを食べる風習があります。
半夏生とは夏至の日から数えて11日目にあたる日、もしくはその日から5日間の期間のことで、今年は7月1日から7月5日まで。
ちょうど田植えを終えた頃なので、稲の根がタコの足のようにしっかり根付くよう願いを込めたと言われています。
関東では半夏生にタコを食べるなんてあまり聞き慣れないかもですが、節分の恵方巻きだってもとは関西の風習が全国区になったもの。
半夏生タコもそのうち全国に広まるかもしれないですね。

日本人のタコ好きは世界的にも有名で、世界で漁獲されるタコのおよそ7割は日本で消費されています。
ていうか、そもそもタコを食べる習慣のある国や地域はそう多くなく、北欧ではまず食べないし、輸入タコの産地モロッコやモーリタリアなど西アフリカ諸国でも獲ったら輸出するだけ。
戒律上の理由もあり、自国では食べたりすることはないようです。
タコの漁獲量世界一は中国。
でも中華料理でタコの料理というのもあまり聞かないですよね。
四千年の食の歴史があり、犬やコウモリなどおよそなんでも食べてきた中国ですら、タコだけは食べる習慣はなかったようです。

一方、イタリアやスペイン、ギリシャといった地中海諸国では、タコはおなじみの食材。
あまり魚介臭さがないわりに旨みが強く、にんにくやオリーブオイルとやたら相性がいいので、地中海料理にもってこいなんです。
今日のタコのルチア風は、にんにくとオリーブオイルでタコを香ばしくソテーしてトマトでことこと煮込んだもの。
ナポリの有名な郷土料理です。
もっともトマトがイタリアに伝わったのは近年になってからのことで、昔はオリーブオイルをたたえた鍋に生のタコを入れてタコ自身から出る水分で蒸し煮にする料理だったんですね。
それが今ではたっぷりのトマトソースで煮込む料理へと変化しました。
タコを食べたあとに鍋に残ったソースはタコの旨みがいっぱいなので、そのトマトソースでパスタも食べて一石二鳥というのも南イタリアではおなじみの食べ方ですよね。
黒オリーブやケイパーが入ったり、オレガノを加えたり、じゃがいもと一緒に煮込むなど、バリエーション豊富な家庭の味です。

日本ではタコは通常、さっと茹でるか蒸した状態で売られています。
そのままだと硬めのしこしこした歯ごたえなわけですが、それを刺身で楽しむのが日本のタコの主な食べ方。
でも、イタリアではとことん軟らかく煮るのが良しとされています。
あちらでは、タコをワインのコルクと一緒に煮ると軟らかくなるなどと言われ、実際、レストランなどでも鍋にコルクをたくさん入れてタコを煮たりしています。
科学的な根拠があるわけではないですが、少しでも軟らかくほろほろに煮込みたいので、ついやってしまうおまじないみたいなものです。

Ingredienti (per 2 persone)

マダコ(脚)250g
にんにく2片
ホールトマト1缶
白ワイン1/3カップ
唐辛子1本
ローリエ1枚
ワインのコルク3個
オリーブオイル適量
プレッツェーモロ5枝
粗塩適量
黒胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

タコは脚が太くて大ぶりのものを選んで購入し水でさっと洗います。
にんにくとプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)は粗みじん切りに、唐辛子は輪切りにします。
ホールトマトはボウルなどにあけて手で潰しながら皮やヘタ、種などを取り除いておきます。

鍋にオリーブオイルをしいてにんにくと唐辛子を入れ、香りが出るまで弱火で加熱します。
タコと刻んだパセリの半量を加えて中火でソテーし、白ワインを加えてフランベしたらホールトマト、ローリエ、ワインのコルクも加えます。
もしタコが煮汁にひたりきらないようなら最初だけ水を足します。
蓋をしてタコが軟らかくなるまで1時間ほど煮込みます。

皿にタコを寝かせてソースをあしらい、ヴァージンオイルをひとまわししてパセリを散らせば出来上がり。
ちなみにわざとたっぷりのトマトソースで煮込んでおいて、あとで鍋に残ったソースでパスタを食べるのが南イタリア風です。

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