2020年7月12日日曜日

Pesce Spada al Salmoriglio 夏カジキのグリル サルモリッリオ仕立て

夏の近海カジキをおつまみサイズに切り分けてグリルで焼き目をつけ、レモンベースのサルモリッリオでさっぱりつまむメカジキのグリル。
海辺のレストランで冷えた白ワインとともにいただきたい、梅雨明けが待ち遠しくなる一皿です。

今日の素材はカジキマグロ。
とはいってもカジキマグロというのは正式な名前ではなく、カジキ類の見た目や大きさがマグロに似ていることから、古くからカジキの仲間の総称としてそう呼ばれてきました。
カジキの仲間はスズキ目カジキ亜目マカジキ科、もしくはメカジキ科、マグロはスズキ目サバ科マグロ属で、分類上もまったく別の魚です。
ただ、カジキマグロと呼ぶ方がなんとなく格好いいんですよね。
英語では、剣のように長い角(実際は上顎)を持ち背ビレを広げた姿がヨットの帆のように見えることから、スウォードフィッシュ(剣魚)やセイルフィッシュ(帆魚)などの名前がつけられています。
やっぱり英語の名前も格好いいですよね。
そして、カジキといえば言うまでもなくマリンのシンボル。
海辺のカフェやレストラン、ヨットハーバーにカジキの絵やオブジェが飾ってあったりしますよね。

そのカジキの仲間のなかでも食べて美味しく、食材としてわりと一般的なのが今日のメカジキ。
店頭には年間を通じて冷凍の切身が売られていて、照焼きやムニエル、フライなどの料理でおなじみの食材です。
いつもあるので冷凍品のイメージが強いメカジキですが、春から初夏にかけては生のメカジキも流通します。
カジキ類は南国の海にいる魚というイメージがあり、実際、遠洋漁業の対象でもありますが、この時期は日本近海にも回遊してきて産卵のため沿岸近くまでやってくるんですね。
メカジキの主な産地は宮城県や和歌山県など。
今日使ったのも和歌山県産です。
冷凍のメカジキは解凍すると白っぽく濁った半透明のような色ですが、生のカジキの身は透き通るような淡いピンク色でしっとりと艶があり、いかにも新鮮そうだし見るからに美味しそう。
冷凍品よりお値段は張りますがこれなら生の方を買ってしまいますね。
冬に獲れたカジキは脂が乗って美味しいですが、この時期のメカジキはあっさりとして、カツオに例えると初鰹のような味わいです。

一方、イタリアではメカジキは日本よりもっとポピュラーな魚です。
あちらの食堂でよくあるのが、まず食べる魚の種類を選び、次に焼くか揚げるか、それとも煮るのかの調理法を選んでセコンドを作ってもらうなんてスタイルの注文方法。
魚の選択肢にはマグロやタイやイワシ、タコにイカなど誰もがよく知る魚と並んでメカジキも大概あります。
そしてメカジキといえば有名なのがなんといってもシチリア。
本土カラブリア州とシチリア島を隔てる狭いメッシーナ海峡が漁場で、産卵のために浅場に寄る5月から夏にかけてが漁期となります。
シチリアで定番のメカジキ料理はどれも肉料理のような雰囲気。
日本でよく見る小さな切り身の比ではなく、ステーキのようにでっかい筒切りの切り身を豪快にグリルしたものや小麦粉をまぶしてソテーしてアンチョビやケイパーのソースをかけたもの、オレガノの香りのきいたトマトソースで煮込んだものなんかが人気です。
店先にメカジキの頭部を置いてメカジキありますアピールをする店や、それを見てメカジキお目当で入店していく客もいます。

その、シチリア特産のメカジキを、夏向きにさっぱりと食べられて且つシチリアっぽい雰囲気に仕立てるなら、シチリア伝統のサルモリッリオがおすすめです。
伝統というと大袈裟に聞こえますが、作り方はいたってシンプル。
オリーブオイルにレモン汁、プレッツェーモロ(イタリアンパセリ)、塩、胡椒、にんにく、オレガノをよく混ぜて乳化させたもの。
ここにオレンジなど他の柑橘類やケイパーなどが入る場合もあります。
酸味の尖ったヴィネガーの代わりにフルーティなレモンを使うところはレモンの一大産地シチリアらしいところだし、同じくシチリアが特産のオレガノが入るのも特徴的です。
初夏のメカジキは味わいも淡白でさっぱりしてるので、爽やかな酸味が美味しいサルモリッリオがよく合います。

Ingredienti (per 2 persone)

生メカジキ150g
にんにく1片
レモン1個
オリーブオイル大さじ3
プレッツェーモロ10枝
乾燥オレガノ少々
粗塩適量
黒胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

生メカジキの切身はひと口大に切り分けます。
塩胡椒でさっと下味をつけオリーブオイルとともにポリ袋などに入れて揉むようにしてから冷蔵庫でしばらく馴染ませておきます。

サルモリッリオを準備します。
レモンは搾ってレモン汁にします。
にんにくは細みじん切りに、プレッツェーモロ(イタリアンパセリ)は粗みじん切りにします。
塩はオイルに溶けないのでまずレモン汁に塩を加えてよく混ぜ合わせてから、オリーブオイル、にんにく、パセリ、オレガノ、黒胡椒を加えてよく攪拌し、とろりと乳化させてソースにします。

鋳鉄製のグリルパンを強火にかけてかんかんにプレヒートします。
オイルを馴染ませたカジキの身を乗せて焼き目をつけます。
火が通ったら皿にどさっと盛りつけます。
サルモリッリオをまわしかけ、黒胡椒を挽きかければ出来上がり。

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