2018年11月3日土曜日

Pappardelle alla Crema di Funghi Prataioli e Frutta Secca 四種の木の実のパッパルデッレ

胡桃やヘーゼルナッツなどの木の実とマッシュルームを粗く粉砕して、バターと生クリームでのばしたソースを平打ちパスタに絡めていただく木の実と茸のクリームソース仕立て。
ナッツの深い香りも茸の風味もバターやチーズなど乳製品と相性抜群、深まる秋の森の恵みが器の上に詰まった晩秋の一皿です。

ハロウィンの喧騒も終わりいよいよ11月ですね。
この時期は、涼しくて快適な秋本番の気候からはだいぶ気温も下がり、いかにも晩秋といった雰囲気になってきて冬の足音も聞こえ始める頃。
クリスマスまではとくにこれといって賑やかなイベントもないですし、冬が近づいてくるというだけで気分もどんより沈んでしまいます。
なんていうか、無力感とか無常感のようなものに包まれながら、静かに日常を送るというのが晩秋の時期の過ごし方。
そう、賑やかな夏が終わって誰もいなくなった秋の海を眺めてるときの喪失感のようなものとちょっと似てますよね。
季節の変わり目がそうさせるのですね。

でも、季節の変わり目っていつの時期もそんなでしたっけ。
いえいえ、だって暗くて長い冬ももうじき終わりという春待ちの頃は、うきうきしたり重いコート脱いで誰かを誘って出掛けたくなりますし、空や雲や空気の匂いまでもが夏色に変わってくる初夏の頃にはいよいよ夏も近いなぁとわくわくしますよね。
なぜなら、季節が陰から陽へと向かう時期だから。
そこには過ぎゆく季節への未練のようなものはなくて、これから訪れる新しい季節への期待感だけがあります。
一方、対照的なのが夏から秋、そして冬へと移ろう陽から陰への時期。
終わりゆく季節への名残りを惜しんだり、これから訪れる歓迎されざる季節への抵抗感のような感情が前面に出るので、人々は寂しく感じたり暗くうなだれて覇気がなくなったりするんですね。
いわゆるウインターブルーというやつです。
そういう感覚は日本だけでなく四季のある国や地域で共通しています。
実際、イタリアでは11月は鬱になる人が増えるそうですよ。
11月は実はイタリアでは一年でいちばん雨の多い月にあたります。
毎日のように天気が悪くどんよりして昼間がどんどん短くなり、そこにサマータイムの終了が重なるため日暮れの時間が突然早まることに。
陽気なイタリア人でもさすがに気分が滅入っちゃいますよね。笑

そんな晩秋のイメージにぴったりくる食材が木の実。
森に暮らす人々にとって木の実は秋を代表する味覚のひとつでもあり、食べものがなくなる雪深い冬の貴重な保存食でもあります。
乾きものというイメージが強いですが、木の実はあぁ見えて油脂成分がしっとり豊富に含まれているので立派なカロリー源なんですね。
秋の気配=厳しい冬の前兆であることを本能的に知っている山のリスや猪や鹿といった野生の動物たちも、この時期はせっせと木の実を拾って食べ、寒さから身を守るために皮下脂肪を厚くしたり余分な栄養までも身体に蓄えたりして、冬を乗り切る準備をします。
田畑を耕し農作物を収穫して暮らしてきた日本では、木の実=秋という感覚はあまりないかもしれませんね。
それは森で狩りをし森とともに暮らしてきた西洋の価値観。
木の実は森からの秋の贈り物にほかならないんですね。

さて、今日はそんな木の実のなかから胡桃、ヘーゼルナッツ、松の実、ピスタチオといったイタリアの秋を代表する四種を使ったパスタ。
木の実はマッシュルームとともにフードプロセッサーで粗く粉砕して、セージの香りを移したバターと生クリームでのばしてソースにします。
ソースはなめらかなのに舌にざらっと残る粒々感とそれを噛んだときに香るナッツの深い香りが今の季節にぴったり。
秋が深まってくると食べたくなる、晩秋のスペシャリテです。

Ingredienti (per 2 persone)

パッパルデッレ(生)300g
胡桃大さじ2
ヘーゼルナッツ大さじ2
松の実大さじ2
ピスタチオ大さじ2
マッシュルーム50g
生クリーム200ml
牛乳200ml
バター30g
セージ1枝
パルミジャーノ適量
小さじ1
黒胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

お好みの木の実をフードプロセッサなどで粗く粉砕します。
(種実類ではなく豆類にあたるピーナッツ、南国産のカシューナッツやマカダミアナッツはここではミスマッチ)
マッシュルームもざく切りにして粗めに粉砕します。

フライパンを弱火にかけてバターを溶かし、セージの香りを移します。
パウダー状の木の実を加えローストしながらペースト状に練ります。
マッシュルーム、生クリーム、牛乳も加えてふつふつさせ、塩と胡椒で味を調えます。
パスタが汁気を吸うのでこの段階ではソースはゆるゆるで大丈夫です。

深鍋に湯を沸かしてパスタを茹でます。
少し硬めぐらいの茹で加減でパスタをあげてフライパンに移しソースを吸わせながらよく絡めていきます。
もう一度味を見て塩で調整します。

皿に盛って黒胡椒を挽き、粗く砕いた木の実を散らしパルミジャーノを削りかければ出来上がり。

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2 件のコメント:

  1. 最近、季節の移ろいを噛みしめるようになってきたのは歳のせいでしょうか。過ぎ行く季節を惜しむなんて若い頃にはなかったことですよね。それはそれで人生の楽しみ方かなと思います。布団に綿を入れたり、ストーブを試運転したりして、来たる冬の準備を楽しんだりしています。

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    1. あぁもうこんな季節かぁ・・・などと考えるのはだいたいお歳をめした方なので、自分もそうなったなと感じます。

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