2019年2月2日土曜日

Ostriche Gratinate Livornese リヴォルノ風 牡蠣のグラティナータ

ぷりぷりの旬の冬牡蠣の身を殻から一旦外して大蒜やオリーブオイルでマリネし、殻に戻して香草パン粉をあしらいオーブンで香ばしく焼いた牡蠣のグラティナータ。
表面にかりっと焦げ目がつきとびきりいい匂いが漂ってくれば食べ頃、ワインが止まらなくなること間違いなしの冬の幸せおつまみです。

牡蠣といえば和洋を問わず冬の味覚を代表する素材。
生牡蠣が好きな人はふくよかな乳白色の身にレモンを搾ってひと口で、火を通した方が好きな人なら炊き込みご飯や牡蠣フライ、味噌仕立てや韓国風の鍋なんかでも美味しいですよねぇ。
このブログでもぷりぷりの牡蠣の身をバターでアロゼしながらかりっとソテーしてゴルゴンゾーラソースに仕立てたパスタや、殻付きのままの牡蠣を蒸して香草バターをあしらったヴァポーレを載せてきました。
殻付きの牡蠣は普通のスーパーではあまり見かけないので魚市場などで調達するわけですが、生きてるので鮮度抜群だし、殻の内側いっぱいに身が詰まってるので大きくて食べ応えがあります。
そして何より殻ごと皿に盛るので見映えがしますよねぇ。

ところで、最近はあまり耳にしなくなりましたが、昔は牡蠣を食べてもいいのはRがつく月だけなんてよく言ったもんです。
いわゆる格言みたいなものなんですが、なんの話かというと月の名前にRが入ってるかどうかって話。
西欧では日本のように数字で何番目の月と表記するのではなく、各々に名前がつけられていますよね。
神話に出てくる神様の名前などに由来してるんですが、これがなかなか覚えられなかった。
スペルも結構難しくて、今でもちゃんとスペルまで書ける人はそう多くないんじゃないでしょうか。
1月がJanuary、2月がFeburary、3月がMarch...
どうですか、全部書けますか。笑
次が4月なのでAprilでここまではすべてRがついてますよね。
そして5月がMay、メーデーのMayです。
6月はJune、ジューンブライドのJuneです。
7月はJuly、8月がAugustとここまではRがつきません。
9月以降はSeptember、October、Nobember、December。
全部Rがつきます。
ちょうど冬をはさんで9月から4月まで連続でRがつきます。
牡蠣の旬は冬なので、なるほどと妙に納得してしまいますよね。

なぜ夏がだめかというと、昔は牡蠣は旬を外すと貝毒を持つからなどと聞いた気がしますが、実際には牡蠣には毒はないそうです。
この諺が考えられたのは、およそ二世紀前のフランス。
牡蠣の生食は古代ローマ時代から続く歴史ある西洋の食文化のひとつで当時から生きている牡蠣しか食べない習慣がありました。
流通や冷蔵技術が発達していない時代において夏場は生牡蠣が輸送中に死んで傷むから、牡蠣は冬に食べるというのが常識だったんです。
わりと普通の格言でした。笑
現在は、産卵期の夏は味が落ちるものの夏でも牡蠣は食べられます。
オイスターバーなどでは一年中牡蠣が提供されていますが、輸送技術が発達した現在は季節が真逆の南半球産や夏でも涼しい北海道産の牡蠣が通年流通しますし、夏が旬の岩牡蠣もあります。
つまり一年中いつでも牡蠣を美味しくいただけるというわけです。

それにしても、魚介を生で食べるなんてあり得なかった西洋において、牡蠣だけは生じゃないと食べないなんてむしろ意外ですよね。
寿司や刺身など生の魚介を食べる文化は日本が全面的にリードしてきたものと思ってましたが、生牡蠣に近いのはせいぜい酢で〆めた酢牡蠣。
それ以外はもっぱら火を通して食べられてきたようです。

さて、牡蠣や帆立貝を殻付きのままパン粉焼きにしたグラティナータはイタリアでもわりと定番の一品ですが、ソースにアンチョビと玉ねぎが入るのがリヴォルノ風。
オーブンから漂う超絶いい匂いがどこまでも食欲をそそります。
殻付きの牡蠣は家庭ではちょっとした贅沢品。
これに冷えたヴェルメンティーノがあれば幸せな気分にひたれますね。

Ingredienti (per 2 persone)

牡蠣(殻付き)4個
にんにく1片
玉ねぎ1/4個
アンチョビフィレ1枚
白ワイン少々
オリーブオイル大さじ2
適量
黒胡椒適量
パン粉(細挽き)適量
プレッツェーモロ5枝
レモン1/4個

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

牡蠣はタワシなどで殻をよく洗い、オイスターナイフで殻を開けます。
貝柱は真ん中あたりにありますので殻の隙間から殻が平らな方に沿ってナイフを挿入し貝柱を切ると開けられます。
反対側の貝柱も切って身を一旦取り出し、流水で洗ってから水気を切り白ワインで洗って塩少々をふります。

にんにく、玉ねぎ、アンチョビフィレはみじん切り、レモンは櫛切り、プレッツェーモロ(イタリアンパセリ)は粗みじん切りにします。
ボウルでにんにく、玉ねぎ、オリーブオイル、アンチョビを混ぜ合せ、牡蠣をしばらくマリネしてから殻に戻します。

ボウルに残ったドレッシングにパン粉とプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)を加えてよく混ぜ合せ、スプーンですくって牡蠣に乗せます。
180℃に余熱したオーブンに入れ、15分ほど焼きます。

平皿に牡蠣の殻を並べます。
牡蠣がころんと転がらないよう、殻付き牡蠣を配置する場所にこんもり塩を盛ってその上に殻を置きます。
黒胡椒を挽きかけ、プレッツェーモロ(イタリアンパセリ)を散らし、レモンを添えれば出来上がり。

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2 件のコメント:

  1. こんにちは。
    いつも素敵なレシピを楽しみにしております。

    インスタグラムもフォローしていたのですが、突然フォローが外れておりまして、再度フォローさせて頂こうとしたのですが、なぜかできなくなっておりました。もし、ご迷惑でなければまたフォローさせて頂けたら嬉しいです。
    突然のコメント失礼致しました。
    毎週、本当に楽しみにしております!

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    1. いつもありがとうございます。
      楽しみにしてくださっている方がいらっしゃると思うとこれからも励みになります。

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