2019年2月9日土曜日

Pasta alla Crema di Prezzemolo con Prosciutto Crudo 生ハムとパセリの春待ちパスタ クリームソース

刻んだパセリをたっぷりとクリームソースに混ぜ込み、生ハムの塩気とともに生パスタに絡めていただく冬の終わりのスペシャリテ。
立春も過ぎ暦の上ではもう春、真っ白な冬景色にちらほら萌えはじめた新芽のような若草色の色彩が春を待つ心に寄り添ってきます。

この時期、美味しさが止まらないのがクリームソースのパスタ。
乳製品特有の濃厚で芳醇なこくと、クリーミーでいつまでも熱々のまま冷めにくいところはやはり秋冬に食べてこそ。
北イタリアの酪農地帯を彷彿とさせ、季節感にもあふれています。
必然的に具材もその季節のものが入るわけですが、例えばえぐみのあるほうれん草はクリームソースとの相性がいい野菜の代表格。
刻んだハムとほうれん草のクリームパスタなどは定番ですよね。
他にも胡桃などの木の実きのこ、秋鮭など、冬なら帆立牡蠣などもクリームソースと相性のいい組合せ。
出来立てを熱々のうちに食べれば身体も温まりますね。

ところで、クリームソースは日本では生クリームを主体に少し煮詰めてとろりとさせて作ることが多いですよね。
生クリームはイタリア語でパンナといいますが、イタリアのレシピでは材料の欄にPannaの文字を見かけることはあまりありません。
イタリアでは生クリームのパスタソースは戦後の復興期あたりにわりと流行したんですが、現在はどちらかというと古くさいというかちょっと懐かしい味という位置づけ。
わりと高カロリーなので健康志向という点でも敬遠されがちで、現在はリコッタやゴルゴンゾーラなどのチーズを溶かしたものや、ベシャメルソースをベースにしたクリームソースが多いようです。
いやいや、それ、どれも高カロリーですからぁ。笑
日本ではイタリア産チーズは高価なのでたくさん使うと不経済ですし、ベシャメルソースもハインツの缶詰を牛乳でのばすだけならまだしも、ちゃんと手作りするとなるとハードルが高い。
でも生クリームならちょっと買ってくるだけなので手軽だし、そもそもどれも乳製品が主体なので似たような風味に仕上がるわけです。

さて、この三連休は記録的な寒波が襲来し都内も雪となるようです。
とはいえ立春も過ぎたし暦の上ではもう春なんですよね。
立春は二十四節気の最初の節気。
旧暦では春が一年の始まりとされ立春の日が元旦だったんです。
お正月のことを新春とか初春とか言うのはその名残りですし、その年の行事や季節の節目は立春を起点として決められ、八十八夜、二百十日、二百二十日も立春から数えて何日目ということを表しています。
イタリア語で春のことをプリマヴェーラといいますが、これは一番目の季節という意味で、プリマドンナ(オペラの主役=第一の女性歌手)やプリモピアット(第一の皿)と同じ語源。
フランス語のプランタンも同じです。

新暦では立春は毎年2月4日頃。
前日の節分までが一年で最も寒い時期とされる大寒なので、立春の頃はまだ寒くて当然。
春になったという実感はなく、まだ春を待つという時期です。
しかし2月という月はここから劇的に季節が進む月でもあります。
立春から僅か半月後には二十四節気の二番目の節気=雨水が訪れます。
雨水とは空から降るものが雪から雨に変わり雪が溶け始める頃=つまり雪解けの頃とされていて、春一番が吹いたり鶯の鳴き声が聞こえたり、農家にとっては畑を耕す準備を始める目安の時期とされてきました。
まだ春爛漫とはいかないまでも冷たい風の中に春の気配を感じる瞬間が垣間見えたりしだすのもちょうどこの2月の中旬以降。
つまり真冬の寒さで始まり、春はまだ先と首を竦め日々を過ごすうちにいつのまにか春はそこまで来てたのかと実感するのが2月。
春が待ち遠しいが故の、実に趣き深くドラマチックな28日間です。

そんな冬から春への過渡期の時期の献立は、冬のものを主体にしつつも春の気配をちらりと忍ばせて季節感を出すのが定石。
今日のパスタも冬の定番クリームソースを真っ白な冬景色に見立てて、殺風景ななかにも新芽がちらほら萌えはじめたような若草色のパセリをたっぷり混ぜ込んだ、春を待つ頃にぴったりのスペシャリテ。
まったりとしたクリームソースに爽やかなパセリの香りが印象的。
具がないので生ハムを乗せて、生ハムの塩気と一緒にいただきます。

Ingredienti (per 2 persone)

リングイーネ(生パスタ)300g
パルマ産生ハム60g
プレッツェーモロ20枝
生クリーム200g
牛乳200g
バター30g
小さじ1
黒胡椒適量
パルミジャーノ適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

生ハムはほとんど上に乗せますが少しだけソースに混ぜ込みたいので、その分を細かく刻みます。
プレッツェーモロ(イタリアンパセリ)はたっぷり使います。
茎から葉を摘み取って粗みじん切りにします。
パルミジャーノは粉状に削っておきます。

フライパンを弱火にかけてバターを溶かし刻んだ生ハムをさっと炒め、生クリームと牛乳、刻んだパセリ(仕上げに散らす分は残しておく)を加えて木べらなどで混ぜ合わせます。
ふつふつしてきたら塩胡椒で味を調整します。

あらかじめパスタを茹でる深鍋に湯を沸かしておき、ソースがふつふつしてきたあたりでパスタを茹で始めます。
生パスタは3分ぐらいで茹で上がるので表示の30秒前にあげます。

パスタをフライパンに移しソースを絡めながら煮含めていきます。
もう一度味を見て必要に応じて塩で調整します。
火を止めて削ったパルミジャーノを加えて混ぜ合わせます。
皿に盛ってプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)を散らし、生ハムをこんもり乗せて黒胡椒を挽きかければ出来上がり。

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