2019年4月14日日曜日
Risotto con Conchilie Uba e Cime di Rapa 菜の花と北寄貝のリゾット
貝殻に詰めた小さめのポーションはプリモというよりむしろ前菜向き、ふっくらと貝の旨みを吸ったお米に菜の花の苦みも添えた一品です。
もう過ぎてしまいましたが4月8日は貝の日だったんだそうですよ。
何々の日というのもいろいろありますが、貝の日は最近知りました。
理由ですが、貝という字を上下二つのパーツに分けると上が目でこれを横にすると漢数字の四、下が八だから4月8日。
そしておりしもちょうどその頃は貝がいちばん美味しい時期だから。
貝の産地として名高い愛知県で制定されたそうです。
渥美半島は太平洋と内海の三河湾に面していて、多様な貝が採れることから貝の半島などとも呼ばれているそうですね。
確かにアサリなどは愛知県産のものをよく見ますよね。
春は貝の季節といってもすべての貝がそうというわけではなく、冬場が美味しい赤貝や夏が旬のアワビやサザエなどの例もあります。
なんとなく巻貝が夏で二枚貝は春という印象もありますが、ハマグリやアサリなど身近な貝の旬も春なので、必然的に貝=春というイメージが浸透しちゃってるんですね。
そんなわけで春は店頭に並ぶ貝の種類がぐっと増える季節。
普段あまりなじみがないというか、お店の刺身盛合せにはよく乗ってるけどスーパーではあまり見かけないので家庭で食べたことがないなんてものも、しれっと店頭に並んでたりします。
注意して鮮魚コーナーを見てみてください。
大人のげんこつぐらいの大きさの黒っぽい貝は置いてませんか。
ぽってりと膨らんで厚みがあり、手に取るとずしりと重みがあり外見は少々薄汚い感じで正直あまり見映えのしない二枚貝。
たぶんそれはホッキ貝です。
ホッキ貝の学名はウバガイ(姥貝)で、名前の由来は貝の寿命が非常に長いことから老婆を意味する姥がついたとされています。
長いもので30年も生きるというから驚きですね。
見た目の雰囲気がみすぼらしいところも姥を連想するせいでしょうが、あまり好意的ではないというか嬉しくない名前をつけられているため、流通の現場ではウバガイという名はほとんど使われておらず、もっぱらホッキガイ(北寄貝)の名で流通します。
その方が情緒もあって美味しそうに聞こえますよね。
ホッキ貝は北海道や東北ではおなじみの貝で、水揚げ量全国一位を誇る苫小牧市では市の貝にも制定されているほか、根室や釧路など北海道のいたるところでホッキ漁が盛んです。
東北では青森県の三沢、宮城県の山元、そしてかつては福島県も有数の産地だったんですが、震災などの影響で漁の自粛が続き、最近になってようやく復活を遂げつつあります。
北の冷たい海に棲む北寄貝は、身が締まった冬が美味しいとする向きもありますが、春から初夏にかけて産卵期を迎えるのは他の二枚貝と同じというのと産卵期間は資源保護の観点から禁漁となるため、今の時期がシーズン終盤にしていちばん美味しい旬を迎えています。
まさしく北の国からの遅い春の便り。
寿司や刺身はもちろんのこと、産地では炊き込みご飯にしたホッキ飯やカレーの具にした北寄カレー、天ぷらにバター焼きといった郷土料理が知られています。
今日はそんな郷土料理のホッキ飯を彷彿とさせるリゾットです。
ホッキ貝は生の身は地味な薄紫色で見映えがしませんが、熱を加えると先端が淡いピンク色(回転寿司などでよくある真っ赤な安いホッキ貝は輸入ものの別種)に染まるため見た目も春らしく仕上がります。
火を通しすぎると硬くなるのでさっと湯引きするだけ、その煮汁で米をふっくらと炊けばなんとも春らしい香りに。
通常のパスタやリゾットのように食事としてがっつり食べるのでなく、少量を貝殻に詰めた春の前菜に仕立てます。
Ingredienti (per 4 persone)
お米 | 1合 | ||
ホッキガイ | 2個 | ||
玉ねぎ | 1/2個 | ||
オリーブオイル | 適量 | ||
ホッキガイの煮汁 | 1l | ||
菜の花 | 5枝 | ||
塩 | 適量 | ||
黒胡椒 | 適量 | ||
レモン果汁 | 大さじ1 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
菜の花はざく切りに、玉ねぎはみじん切りにします。ホッキガイは砂抜きしづらい貝なので剥いてから水洗いします。
殻をたわしで洗い、水管の部分の隙間からオイスターナイフを指し込み左右二ヶ所にある貝柱を切って殻を開きます。
殻から身を取り出し身(足)とヒモに分け、身はトサカのように尖った部分の反対側から包丁を入れて開き、黒い内臓を包丁の先で取り除いて塩水で洗います。
ヒモは水管の先の黒い部分を切り落として塩揉みします。
鍋に湯を沸かしてホッキの身をさっと湯引きして取り出し、食べやすい大きさに切り分けておきます。
続いて菜の花も彩りよく茹でて軟らかすぎない程度で引き揚げます。
別の鍋にオリーブオイルをしいて玉ねぎをソフリットします。
玉ねぎがしんなりしたら米を洗わずに加えて木べらで混ぜながら炒め、米が透き通ってきたら貝の煮汁をひたひたに注ぎます。
頻繁にかき混ぜると粘りが出てしまうので、鍋底が焦げ付かない程度にときどきかき混ぜ、スープを継ぎ足しながら15分ほど炊いていきます。
スープがなくなったら熱湯を継ぎ足します。
お米に若干芯があるぐらいの状態で火を止め、取り出しておいたホッキの身と菜の花を加えて混ぜあわせ、塩胡椒で味を調整します。
数分休ませてからスープ皿に置いた貝殻に盛り付け、オリーブオイルをまわしかけて胡椒を挽きかければ出来上がり。
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