2019年4月7日日曜日
Crema Fredda di Asparagi Verdi グリーンアスパラの冷製ポタージュ
春といっても季節がだいぶ進んだこの時期はときに汗ばむ初夏の陽気、ちょっと気が早いけどその日の気候次第で冷製が美味しい一皿です。
春爛漫の陽気で露地ものの春野菜も本格的に出まわり始めましたね。
菜の花や蕗の薹など早い時期から出まわるものもありますが、山菜類や春野菜の大半は本来これぐらい暖かくなってからが本番。
庭やベランダで冬越しした多年性のハーブ類もようやく芽吹いてきて、清々しい新緑の様相を見せ始めています。
地面からにょきにょきと力強く出てくるアスパラガスも芽吹きの季節を象徴する春野菜の代表。
生命力に溢れる野菜で1日に数cmも伸びるというから驚きです。
地中海原産なのでイタリアでももちろんポピュラーな野菜。
ただし、イタリアでは日本のようにいろいろな野菜が一年中店頭に並ぶなんてことはなく、アスパラが出まわるのは春の短い期間だけ。
だから出始めの頃はようやく訪れたアスパラの季節を歓迎し、旬の間は毎日のように食卓に登場します。
日本では夏野菜のトマトやきゅうりや茄子が冬でも普通に買えますし、逆に冬野菜の白菜やほうれん草なんかも一年中買えて便利ですよね。
便利な一方でその素材の旬がいつなのかがわかりづらくなってしまい、料理を作ったり食べたりするうえである意味とても大切な季節感というものが失われてしまう気がしてちょっと残念です。
もちろん何をいつ食べようと個人の自由ですし、実際スーパーに行けばなんでも揃うし飲食店でもいつもだいたいのメニューはあります。
しかしレストランなどの場合、料理の味が美味しいのはもちろんですがそれだけでなく器や盛り付けの美しさ、接客や店の雰囲気など総合的な満足感をお客様に提供するプロでなければならないわけです。
なかでも料理や店内装飾などで季節感を表すことは非常に重要な要素。
冬なのに本日のおすすめパスタが茄子のトマトソースだったりする店がたまにありますが、ちょっと感覚を疑いたくなってしまいます。
さて、イタリアではアスパラの短い旬をとことん満喫したいからなのかアスパラ料理のバリエーションがとても豊富。
このブログでも茹でたホワイトアスパラガスに茹で卵のソースを添えたバッサーノ風や、グリーンアスパラに溶かしバターとパルミジャーノを纏わせて焼き温泉卵を添えたグラティナータ、パルミジャーノで作った器を鳥の巣に見立ててポーチドエッグを添えたリゾット、根菜類を含め春野菜をせいろで蒸したヴァポーレ、極細のペンシルアスパラを野生のアスパラガスに見立ててフライパンで炒めスクランブルエッグを添えたインパデッラ、イタリア風オムレツのフリッタータ、目玉焼きを乗せたミラノ風などの定番レシピを作ってきました。
日本だとサラダにちょっと入れる脇役的な使い方が多い気がしますが、あちらでは主役に据えてアスパラそのものを味わう方が多く、なかでもホワイトアスパラのヴァッサーノ風はコース料理でメインを張るというれっきとしたセコンド料理です。
そしてこれらのほとんどに卵が添えてあるわけですが、ご存知のとおり西欧ではアスパラと卵は相性の良い黄金の組合せ。
アスパラも卵もともに春が旬ですしね。
今日は卵は使いませんが春らしく新じゃがと新玉ねぎと一緒に煮崩してポタージュに仕立ててみました。
とくにコンソメなどは使わなくても野菜から出る旨みが出汁の代わり。
攪拌するときにあまりなめらかにしすぎず、粉砕された野菜の粒々感を残してざらざらした感じにするのが好みです。
やや青臭いアスパラに新じゃがの甘みと新玉ねぎの香味がバランスよく混ざり、生クリームでまとまりよく仕上げてあります。
肌寒い頃ならもちろん温製スープで美味しいですが、春とはいえ季節が進んだ今頃の時期はときに汗ばむ初夏のような陽気。
そんな日は冷蔵庫で冷やした冷製ポタージュもおすすめです。
さっぱりとした後味のなかに春が仄かに香ります。
Ingredienti (per 4 persone)
グリーンアスパラ | 300g | ||
新じゃが | 小4個 | ||
新玉ねぎ | 1個 | ||
オリーブオイル | 適量 | ||
水 | 3カップ | ||
生クリーム | 200ml | ||
ローリエ | 1枚 | ||
塩 | 適量 | ||
黒胡椒 | 適量 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
アスパラは根元の硬い部分を切り落とします。真ん中あたりを左手で、下端を右手でつまんでゆっくりくの字に曲げていくとちょうど硬い部分の境目でぽきっと折れます。
下の方は皮が硬いので、1/3ほどピーラーで皮を剥きます。
飾り用の穂先は長めに残してそれ以外は適当に刻みます。
新じゃがはさっと洗ってから軽く茹でて、薄い皮を指でつまんで剥けるぐらいで火を止め、皮を剥いて四等分ぐらいに切り分けます。
新玉ねぎはみじん切りにします。
深鍋にオリーブオイルをしいて中火にかけ玉ねぎをソフリットします。
玉ねぎがくったりしたら水、じゃがいも、塩胡椒、ローリエ、時間差でアスパラも加え15分ほど煮ていきます。
火を止めたらアスパラの穂先とローリエを取り出し、少し冷ましてからハンドブレンダーでざらっとした粒子が残る程度に攪拌します。
粗熱がとれたらボウルに移して生クリームを加え、塩胡椒で味を調整し冷蔵庫でよく冷やします。
スープ皿に冷たいスープを注いで穂先を浮かべます。
黒胡椒を挽いてオリーブオイルを垂らせば出来上がり。
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