2019年7月6日土曜日
Arrosto di Mais Novello ヤングコーンのロースト
仕上げにグリルで香ばしく炙ってパルミジャーノを削りかけ、焼き目の香ばしさと未熟でほのかな甘みを味わう季節限定の逸品です。
今日の旬のいち推し素材はヤングコーン。
ちょうど梅雨の頃に出まわるお楽しみ食材のひとつです。
それって、サラダや中華料理の炒めものに入ってる黄色くて味がしないアレでしょと思ってしまった方、半分正解で半分間違いです。
その、味が薄くて美味しくないやつはヤングコーンの水煮加工品。
以前はそれしか流通してなかったんですよね。
ところがここ最近は、普通のとうもろこしよりふたまわりぐらい細くて小さい皮つきの生のヤングコーンを見かけるようになりました。
そして、これがあの水煮のベビーコーンと同じものとは思えないぐらい似て非なる味で、お値段も手頃だしとうもろこしの味がしっかりあってほのかに甘くて、一度食べたら絶対また食べたくなる味なんです。
とうもろこしは粒々の実しか食べられませんが、ヤングコーンは外側の硬い皮だけは剥いて取り除きますが、あとは実はもちろん、軸も薄皮もヒゲも全部食べられます。
意外に、もしゃもしゃのヒゲも結構甘いんですよ。
食べ方ですが、皮ごとグリルで香ばしく焼いてちょっと醤油をたらした焼きとうもろこし風が定番。
夏祭りの季節を先取りしたみたいで梅雨明けが待ち遠しくなります。
ところでこのヤングコーン、見た目はとうもろこしには違いないけど、大きくならない矮性の品種か何かなんでしょうか。
いえいえ、これはもう皆様もご存知と思いますが普通のとうもろこしとヤングコーンは同じもので、とうもろこしの実を若採りしたもの。
なるほど、そうすると次の疑問は、大きく育ててから収穫すればもっと高値で出荷できるのに、なぜ若採りするのでしょうか。
通常とうもろこしの株は一本で実が二本から三本つきますが、それ以上実がついてしまうとすべての実に栄養が行き渡らず大きく育たないため摘果(間引き)する必要があります。
その、間引かれた未成熟の実がヤングコーン。
需要がない時代はそのまま捨てるか堆肥にするか家畜の餌になっていたと思いますが、現在は希少性や季節を彩る新しい食材として見直され、梅雨の時期の風物詩になりつつあります。
さて、イタリアも世界的にはとうもろこしの生産量が多い国のひとつ。
北イタリアのピエモンテ州、ロンバルディア州、ヴェネト州にまたがる稲作地帯パダーノ平原がとうもろこしの主な産地です。
イタリアでとうもろこしの料理というのもあまり思いつかないですが、北イタリアのポレンタは有名ですよね。
粗挽きのとうもろこし粉をじっくりと煮た粥状のもので、ほぼ炭水化物なのでパンやパスタの代わりに肉などのメイン料理やシチューのような煮込み料理に添えて食べます。
もちろん普通にパスタやリゾットなどでも食べられます。
とうもろこし栽培が盛んなら同様に夏前には間引きしたヤングコーンが出回りそうですが、イタリアではどんなふうに食べるんでしょう。
イタリア語のサイトでレシピをあれこれ検索してみたのですが、とくにこれといったものは見つかりませんでした。
どうやら食材としてはあまり一般的ではないようですね。
ヤングコーンに関する記事が見当たらないので、ヤングコーンのことをイタリア語で何と呼ぶのかわからず、ちょっと想像してみたんですが、ノヴェッロと呼ぶのがしっくりきそうですがどうでしょうか。
フランス語だとヌーヴォー=あのボージョレーのヌーヴォーのことで、その年に最初にできた新物みたいな意味です。
イタリアではノヴェッロといえば新ワインや新オリーブオイルのこと。
野菜では新じゃがや新玉ねぎのこともノヴェッロと呼びます。
なのでヤングコーンもマイスノヴェッロ。
イタリア人にもこれでたぶん通じると思います。笑
イタリア風の食べ方がわからないのでここは焼きとうもろこし風で。
とうもろこしは乳製品と相性がいいのでソースは溶かしバターにして、いきなりグリルせずにまずはオーブンでローストして蒸し焼きにして、バターをなじませてから仕上げに焦げ目をつけます。
同じく乳製品のパルミジャーノを食べる前にたっぷり削りかけて。
未熟で頼りなさげな優しい甘さが魅力、今だけの味わいです。
Ingredienti (per 2 persone)
ヤングコーン | 6本 | ||
バター | 30g | ||
塩 | 適量 | ||
黒胡椒 | 適量 | ||
パルミジャーノ | 適量 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
皮つきのヤングコーンは、先端から伸びたヒゲは黒くなっている部分は包丁で切り落とし、外側の硬い皮を剥きます。薄皮を2~3枚だけ残す感じです。
ソースパンを弱火にかけバターを溶かします。
ヤングコーンの先端のヒゲは焦げないようアルミホイルで包みます。
トレイに並べて溶かしバターを全体にまわしかけ軽く塩をふります。
オーブンを200℃に予熱し10分ほど蒸し焼きにします。
オーブンから取り出して包丁で薄皮に縦に切れ目を入れ、左右に開いて薄皮をめくり、トレイに流れ出たバターをスプーンでかけなおします。
めくれた側を上に向けてグリルで焦げ目がつくまで焼きます。
皿に並べて胡椒を挽き、パルミジャーノを削りかければ出来上がり。
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