2020年8月15日土曜日

Linguine ai Ricci di Mare 海栗とケイパーのリングイーネ

お取り寄せした旬の三陸産ムラサキウニを贅沢にも木べらで潰しながら軽くソテーし、茹でたリングイーネに絡めた海栗とケイパーのパスタ。
たらこや明太子パスタのような和製イタリアンかと思われがちですが、ウニのパスタはれっきとした夏の南イタリアの味です。

日本人が大好きな食べもののひとつが今日のウニ。
刺があって栗のイガのようなので、漢字で海栗と書きます。
雲丹という字をあてることもありますが、それはどちらかというと主に瓶詰めなど加工されたものに使われるようです。
ウニの定番の食べ方はもちろん生でいただくお寿司や海鮮丼。
しかも値段の安い並や上ではなく特上クラスのいちばん高いものだけに乗っかっている高級食材です。
とろっとした食感と独特の風味がなんとも美味しいですよねぇ。
そして、産地や種類にもよりますが、ちょうど真夏の今が旬。
なんとなく冬のようなイメージがあったので意外ですよね。

ところで、普段ウニを食べるときに○△ウニの寿司とか丼などのようにウニの種類が示されてることはあまりないですよね。
食べる方もウニはあくまでウニでしかなくて、それがなんという種類のウニなのか気にすることはあまりないんじゃないかと思います。
実は、日本の近海には100種類以上のウニが生息しているそうです。
そのうち食用になるのは主に5種類。
真っ黒でわりと長いシャープな棘のある、いわゆる典型的なウニの形をしたものがムラサキウニ、潰れたお饅頭のような楕円形で短い棘があり暗緑色で馬の糞のような見た目をしているのがバフンウニ。
どちらも本州以南に生息しています。
一方、国内の漁獲量の半分を占めているのが北海道で、こちらで獲れるのが本土のウニの地域変種キタムラサキウニとエゾバフンウニ。
あとは九州で獲れるアカウニです。
今日使ったのは、お取り寄せした三陸産のムラサキウニ。
バフンウニほど高価ではないですが、それでも普通にお高い高級品。
まずは生のまま山葵醬油でいただいたのは言うまでもありません。笑

ところで、ウニは魚ではないし、エビやカニのような甲殻類でもない、貝の仲間とも微妙に違うようですが、一体何なんでしょうか。
実は、ヒトデやナマコなどと同じ棘皮(きょくひ)動物の一種。
身体の構造が五放射相称なのが特徴で、ヒトデの足は五本だし、ウニの黄色い房状の身も殻の内側に五方向にへばりついています。
では、その私たちが食べているウニの身は何なんでしょうか。
脳ミソでしょうか、内臓か何かでしょうか。
実は生殖巣なんです。
多くの魚介類は産卵前に身が太り旬を迎えますが、ウニは食べる部分が生殖巣そのものなので、産卵前の旬の時期に最も身が肥えて大きくなり美味しくなるのは当然です。
逆に産卵後は痩せて身がほとんどなくなってしまいます。

日本では高級食材として珍重されるウニですが、海外ではウニを食用にするという話はあまり聞いたことがありませんよね。
それもそのはずで、世界中で獲れるウニのほとんどが日本向け。
日本が高く買ってくれるということで、近年、急速に漁獲量を増やして今や世界一の産地となったのが南米のチリです。
そのチリ産も含め、世界の漁獲量の9割は日本で消費されています。
日本以外ではニュージーランドやフィリピンなどアジアオセアニア圏で食用にされているほか、生の魚介類など本来食べないはずの欧米でも、地中海に面した南フランスやスペイン、ギリシャ、イタリアで生のまま食用にします。

イタリアの都会で暮らす人たちにとって、ウニは夏のバカンスで訪れるリゾートでいただく非日常的なご馳走。
海辺のテラス席で冷えた白ワインとともに食べる夏の思い出の味です。
ウニの産地は主に南イタリアのシチリア、プーリア、サルディーニャ、カラブリア、ナポリが州都のカンパーニャなど。
定番の食べ方は、砕いた氷の上に殻を割ったウニを並べた前菜。
レモンをきゅっと搾りかけてパンですくって生のまま食べます。
日本の食べ方と大きく違わないので想像しただけで美味しそうですね。

そして、生で食べる前菜と並んで定番なのが今日のようなパスタ。
日本では生クリームを加えたウニのクリームソースがおなじみですが、生クリームを使うことで高価なウニを節約しないと、パスタ一皿だけで何千円という高価なものになってしまうからですね。
イタリアではウニはもっと全然安いのと、味が濃いので余計な調味料は必要なく、当然生クリームなんて加えません。
その代わりウニのパスタにはウニを10個から20個も使います。
なんとも贅沢ですねぇ。

Ingredienti (per 2 persone)

リングイーネ220g
にんにく1片
ウニ80g
塩蔵ケイパー大さじ1
オリーブオイル大さじ4
プレッツェーモロ10枝
適量
黒胡椒適量
パスタの茹で汁レードル1杯

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

にんにくとプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)は粗みじん切りに、ケイパーはぬるま湯にひたして塩抜きしておきます。

まずは深鍋でパスタを茹ではじめます。
フライパンを弱火にかけてオリーブオイルをたっぷりしき、にんにくをソフリットして香りを出し、ケイパーも加えます。
半量のウニを加えて木べらでつぶすようにしてソースにします。
刻んだパセリも半量加え、一旦火を止めます。

パスタの茹で汁をフライパンに加えてソースをのばします。
茹で上がったパスタも加えて、ソースを吸わせるようにしながら和え、残りのウニも加えて味見をして塩で調整します。
皿に盛って黒胡椒を挽き刻んだパセリを散らせば出来上がり。

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