2019年9月23日月曜日

Melanzane Grigliate 焼き茄子風 秋茄子のマリネ

旬の秋茄子を天火で黒焦げになるまで炙り、焦げた皮は剥いて冷蔵庫でオリーブオイルをなじませた焼き茄子風の秋茄子のマリネ。
トマトソースを敷いた皿に姿のまま盛りつけ刻んだバジリコを添えればさっぱり、冷えた白ワインのお供にもぴったりの秋の前菜です。

秋茄子が美味しい季節ですね。
日本ではほとんどの野菜が季節に関係なく一年中店頭に並びますので、野菜の旬なんて気にしたことがないなんて方も多いかと思います。
もちろん茄子は言わずと知れた夏野菜。
なのに秋茄子ってどういうこと、って話ですよね。
秋茄子とは品種の違いとかではなく、同じ株から二度収穫する場合の、二度目に収穫されたものを指してそう呼びます。
あれ、でも断続的に次々と実をつける茄子に、一度目とか二度目とかの収穫などあるのでしょうか。
それはこのあと説明しますが、いずれにせよ二度目の収穫がお盆過ぎの頃から9月にかけての時期だから秋茄子。
わざわざそのようにするだけの理由とメリットがあるんです。

いわゆる夏野菜にはナスの他にもトマトやきゅうり、ピーマン、オクラなどがありますが、これら全般に言えるのが別に夏野菜だからといって暑ければ暑いほどよく育つというわけではないということ。
実際、初夏の頃までは太陽をたっぷり浴びてぐんぐん育っていたのに、梅雨が明けて猛暑になった途端に成長が緩やかになったりひどいときは成長が止まって枯れてしまったりもします。
地球温暖化の影響もあり、日本の夏は高温多湿が年々エスカレートして今ではほぼ亜熱帯と言われるほど世界的に見ても相当に過酷な環境。
ナスは真夏の時期には養分を自身が呼吸するために使い、生きることにいっぱいいっぱいになってしまうんです。
そんな状況なのに花や未熟な実がたくさんついているとそれらが重荷になって、放っておくと株が弱ってしまいます。
そこで盛夏の頃にばっさり切り戻しを行い、株元の根も切って再び根を伸長させる余地を与えてあげるというわけです。

切り戻しされて身軽になった茄子は、成長初期の頃のように根を張り、枝葉を伸ばして、まずは株自身を大きく育てようとします。
そしてお盆を過ぎた頃になり十分に株が成長すると再度成熟期に入り、花を咲かせ実をつけるようになります。
これを収穫したものが秋茄子。
秋茄子はみずみずしい夏の茄子に比べて水分が少ないので糖度が高く、皮が薄くて果肉が締まっていて種も少ないという特徴があります。
つまり、夏とはまた違った美味しさが味わえるというわけですね。

さて、イタリアでは茄子の産地といえばシチリア。
茄子の料理で有名なのが、素揚げした茄子とバジリコのトマトソースに塩気の強いリコッタサラータを散らしたノルマ風パスタ、ラタトイユのように茄子をトマトで甘酸っぱく煮込んだカポナータ、茄子とチーズとトマトソースをラザーニャのように交互に重ねてオーブンで焼き上げた茄子のパルミジャーナ、茄子で具材をくるっと巻いてオーブンで焼いたインヴォルティーニなどがあります。
確かに、これらは全てシチリアの郷土料理だし、しかもいずれも有名でイタリア全土でおなじみのものばかり。
シチリア風と名のついた料理には大概ナスが使われていることからも、いかに茄子=シチリアがスタンダードかわかるというもんです。

肉料理のコントルノで野菜のグリルを添える際、茄子やズッキーニなどを輪切りにしてグリルパンで焦げ目をつけたものをよく見ますよね。
でも今日の茄子のグリルは日本の焼き茄子風に黒焦げになるまで焼いて皮を剥き、冷蔵庫で冷やした残暑の時期に嬉しい前菜です。
茄子は油と相性がよく、イタリア料理では素揚げにしてしっとりと油を吸わせてからパスタなどの料理に使うことが多いんですが、焼き茄子風の場合は先に火を通しておき、冷蔵庫で冷やすときにオリーブオイルをなじませることでさっぱり感を出しています。

夏の茄子は煮崩れてとろとろになるところも美味しさのひとつですが、秋茄子は果肉が詰まっているので煮崩れしにくいのが特徴。
そのため、皮を剥いたら切らずに姿のまま盛りつけます。
軟らかいけどしっかりした食感もあり、甘みもあるのが秋茄子。
オリーブオイルはもとよりバジリコやトマトとの相性も抜群です。

Ingredienti (per 2 persone)

茄子5本
オリーブオイル適量
適量
バジリコ10枚
塩蔵ケイパー大さじ1
per la Salsa
ホールトマト1/2缶
にんにく1/2片
玉ねぎ1/4個
バジリコ5枚
オリーブオイル適量
適量
黒胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

ナスのヘタの部分に沿って包丁でぐるりと浅い切り込みを入れ、ガクを取り除いてからグリルで全体が黒く焦げるまで10分ほど焼きます。
途中でころころと転がし全体に満遍なく焦げ目がつくようにします。
竹串がすっと入る軟らかさになったら取り出して粗熱をとり、なるべく熱いうちに皮を剥きます。

ぬるま湯で塩抜きしたケイパーを刻みます。
ジップロックに塩少々、ケイパー、オリーブオイルを入れてよく混ぜ、ナスを加えて全体にオイルを馴染ませ、冷蔵庫で冷やします。

トマトソースは作り置きしたものやパスタの残りがあれば十分ですが、作る場合は玉ねぎとにんにくをオリーブオイルで炒め、ホールトマトを加えて少々煮込んでバジリコで香りづけします。
ナスが冷製なので、ソースも常温か冷蔵庫で少し冷やしておきます。

スプーンで引くようにして平皿にトマトソースを敷きます。
ソースの上にマリネした焼き茄子を乗せて、漬け汁のオリーブオイルやケイパーも散らしかけます。
刻んだバジリコを乗せ、黒胡椒を軽く挽きかければ出来上がり。

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