2019年10月6日日曜日
Lampredotto in Brodo ランプレドットの白ワイン煮込み
ランプレドットはフィレンツェのファストフードが有名ですが、こんな一皿ならオステリアで提供する一品料理としても通用します。
10月に入った途端に清々しい秋の気候になってきましたね。
秋は美味しい食材が盛り沢山で、食べることが好きな人にはたまらない季節ですが、涼しくなって暑くも寒くもなくちょうどいい気候のため、食材だけでなく調理法の選択肢もぐっと増えてきます。
オーブン料理とか長時間火を使う煮込み料理なんかは、夏場はやっぱり作りたくないですもんね。
オーブン料理といえば、日本ではオーブンと電子レンジが一体になった家電のオーブンレンジが一般的。
近年スチームオーブンやコンベクションオーブンなど多機能化が進み、石窯なんちゃらとかヘルシオといったブランドも確立してきています。
ただそのオーブン機能をよく使うかというと、時々ケーキやグラタンを焼いたりクリスマスにローストチキンを焼いたりもしますが、実際にはそれほど活用しきれてなくて電子レンジとして使うことの方が圧倒的に多いというご家庭も多いのでは。
アメリカなど欧米では家電製品というよりあらかじめキッチンに巨大なガスオーブンが据え付けになってる家が多く、でっかい肉のかたまりや丸鶏を放り込んで焼くなんてのがわりと日常的。
よく言えば豪快ですが悪く言えば大雑把。笑
基本的な食事スタイルが洋食か和食かという違いもありますが、もとが狩猟民族なのか農耕民族なのか、肉の値段が安いのか高いのか、体格や顎の骨格も違いますので、肉を食べることにおいては西欧は間違いなく先進国ですし、オーブンを使いこなすことに関しても同様です。
長時間火を使う煮込み料理も、涼しくなってようやく作ってもいいかなという気になるもののひとつ。
先のオーブン料理もそうですが肉食文化の先進国では肉の煮込み料理の種類も豊富で、イタリアにもたくさんのバリエーションがあります。
ピエモンテ州の豪快な茹で肉盛合せボッリートミスト、ミラノが州都のロンバルディア州のオッソブッコにカッスーラ、フィレンツェが州都のトスカーナ州の粒の黒胡椒がきいたビーフシチューのようなペポーゾにもう一度茹でたという意味の翌日のシチューのようなリボッリータなど有名な郷土料理がずらり。
全国区の呼称ではイタリア版の肉じゃがと呼ばれるスペツァティーノ、炭火でじっくり煮込む際の炭が語源のブラザート、同じような調理法でストーブが語源となったストゥファート、過剰に煮込んだという意味のストラコット、茹でた肉を再度作り直したという意味のリメイク料理のようなレッソリファットなど。
まだあります。
内臓料理ではフィレンツェ、ローマ、ナポリあたりは歴史的に有名で、ローマの下町地区では牛テールの煮込みコーダアッラヴァッチナーラや乳飲み仔牛や仔羊の小腸を煮込んだソースをリガトーニなどに合わせるパイアータ、豚のもつ煮込みコラテッラなどがよく知られています。
牛の二番目の胃ハチノス(トリッパ)のトマト煮込みはローマ風のほかフィレンツェ風など地域によってバリエーションがある名物料理。
今日のランプレドットは牛の第四胃袋ギアラのことで、これを煮込んでロゼッタというパンにはさんだパニーニはフィレンツェ市場の名物。
パセリとヴィネガーで作るサルサヴェルデを添えていただきます。
ランプレドットはファストフードが有名ですが、白ワインでこんな風に煮込んだ一皿ならオステリアで提供する一品料理としても通用します。
黒胡椒とパルミジャーノを挽いて、サルサヴェルデとパンはお好みで。
パニーニのように煮汁をパンにしみこませ肉を乗せて食べてもいいし、皿に残ったスープをパンで拭って食べてもいいですね。
Ingredienti (per 10 persone)
ギアラ | 1kg | ||
にんにく | 2片 | ||
玉ねぎ | 大2個 | ||
セロリ | 1本 | ||
にんじん | 1本 | ||
ローリエ | 3枚 | ||
オリーブオイル | 適量 | ||
白ワイン | 2カップ | ||
レモン | 1/2個 | ||
塩 | 適量 | ||
黒胡椒 | 適量 | ||
プレッツェーモロ | 5枝 | ||
パルミジャーノ | 適量 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
ギアラは水でよく洗って付着物などを掃除し、深鍋に水を張りギアラを入れて沸騰させ、2回から3回茹でこぼします。後で使う香味野菜の不要となるセロリの葉、にんじんや玉ねぎのヘタ、レモン1/2個、ローリエ2枚、包丁の腹で潰したにんにく2片をギアラとともに深鍋に入れ、軽く塩をして3時間から4時間ほど下茹でします。
ギアラを下茹でしている間に、香味野菜のソフリットを作ります。
にんにく、セロリ、玉ねぎ、にんじんをそれぞれみじん切りにします。
フライパンにオリーブオイルをたっぷり注いで、まず弱火でにんにくの香りを出し、他の香味野菜も加え中強火で30分ほど炒めていきます。
炒めるといっても揚げ焼きのようなイメージで、木べらで均等に拡げてあまり触らずに放置プレーが基本。
焦げないようにときどき木べらで混ぜ返すだけです。
量が1/3ぐらいになって飴色になれば出来上がり。
下茹でが完了したギアラは、鍋から上げて粗熱をとります。
これを一口サイズにスライスしソフリット、ローリエと共に鍋に入れ、白ワインをどぼどぼ入れて中強火にかけます。
ワインのアルコール分がとんだら水を2カップ加え、蓋をして3時間ほど煮込み、塩胡椒で味を調整します。
やや深さのある皿につゆだくでよそり黒胡椒とパルミジャーノを挽き、プレッツェーモロ(イタリアンパセリ)を散らせば出来上がり。
お好みでサルサヴェルデやパンを添えて。
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