2019年6月22日土曜日
Spaghetti al Pomodoro Giallio 黄色いトマトのポモドーロ
生で美味しい日本のトマトは一般的に加熱調理には向いてないですが、これは果肉が厚く生はもちろんトマトソースも美味しくできます。
イタリア料理になくてはならない野菜の代表トマト。
パスタやピッツァはもちろん、カラフルなトリコローレのカプレーゼやローマ風ケッカソースのブルスケッタ、肉やソーセージのトマト煮込みナポリ風ラグーに同じくナポリのタコのトマト煮込みアッフォガート、トスカーナ地方のパッパアルポモドーロにアクアコッタなど、トマトを使った伝統料理は山ほどあります。
一見するとわかりにくいボロネーゼのようなブラウンソースもトマトが不可欠ですし、もはや現代イタリア料理はトマトなしでは成立しないと言っても過言ではありません。
そんなイタリアの国民的野菜ともいえるトマト、てっきり地中海原産で生粋のイタリア野菜かと思いきや、実は南米からきた外来野菜。
ヨーロッパにトマトが伝わったのは18世紀と比較的新しいんです。
トマトが伝わる前のイタリア料理がどんなだったか想像できますか。
現代ではトマトが入ったパスタやピッツァをロッソ(赤)、そうでないものをビアンカ(白)と呼び分けますが、トマトが伝わる前のパスタやピッツァは当然ながら全部ビアンカ、つまり白や茶褐色で地味な色あいのものばかりだったわけですね。
真っ赤なトマトソースの登場は、派手好きで食いしん坊なイタリア人にとってさぞかしセンセーショナルだったことでしょう。
そんなトマトソースの色は昔も今も赤がスタンダード。
真っ赤なトマトソースのパスタは見ただけで美味しそうってなります。
人間の脳は目などから入ってきた情報を過去の記憶と照合することで、それがどんな匂いでどんな味だったか、美味しかったか、好きか嫌いかといった情報を引っ張り出してきてイメージを膨らませます。
コンピュータがハードディスクなどの記憶装置にあるファイルを開いて処理を行うためのメモリー領域に展開するのと似ていますね。
だからひと口食べればすぐにトマトソースの味だねってなるわけです。
食べる前に予備知識が先入観のような形で脳内に展開されるからです。
今からレモンをかじるってときに口の中が唾液でいっぱいになるのも、脳のそういう仕組みによるものなんです。
でも、何ら予備知識のないものを食べる場合はそうはなりません。
その食べものがどんな味か認識するのに、脳内の引き出しをやみくもに開けて類似の情報がないか照合しに行くため、時間がかかります。
逆に、例えばこれはバナナですと教えられて予備知識がある状態でも、見た目がバナナとかけ離れていたりすると半信半疑になり、予備知識がないときと同じような作業が繰り返されます。
黄色いトマトソースの場合も、よく知っているトマトソースと見た目が違い過ぎるため、脳が無意識にトマトの記憶と違う情報を検索するためひと口食べただけですぐにトマトソースの味だとわからないんです。
自分で作って、実際に食べているにもかかわらず、今この画像を見てもどんな味だったか思い出せないので、脳の中にちゃんとした記憶として保存されるのにはあともう何回か食べないとだめかもしれません。
さて、今日使ったのはイエローアイコという品種のミニトマトですが、糖度が高くて非常に甘く、酸味はあまり感じません。
そして、意外に果肉が厚くしっかりしてるため、生で食べるだけでなく煮込み料理などにも向いている品種と言われています。
桃太郎をはじめ日本のトマトの大半は生食向き、というより生で食べていちばん美味しくなるよう品種改良してきたもの。
なので、日本のフレッシュトマトでトマトソースを作っても水っぽくてあまり美味しくできないというのが定説です。
イエローアイコで作るトマトソースは水っぽくなく、そんな既成概念をくつがえしてくれます。
酸味が少なくて甘いトマトソースがお好きな方にはぴったり。
普通に酸味もあるトマトソースがお好きな方はむしろレモン果汁などで酸味を足すとちょうどよくなりますよ。
Ingredienti (per 2 persone)
スパゲッティ | 220g | ||
イエローアイコ | 300g | ||
にんにく | 1片 | ||
レモン汁 | 少々 | ||
乾燥オレガノ | 少々 | ||
バジリコ | 1枝 | ||
塩 | 適量 | ||
黒胡椒 | 適量 | ||
パスタの茹で汁 | レードル2杯 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
にんにくは包丁の腹で潰し、トマトは縦に半分にカットします。レモンを搾って果汁にしておきます。
フライパンにオリーブオイルをしいて弱火にかけ、にんにくを置き入れ香りが出できたら取り出します。
ミニトマトを加え中火で煮崩していきます。
果肉が煮崩れて皮だけになったら皮を取り除きます。
オレガノと塩胡椒で味を調整し、甘すぎるならレモン汁を加えます。
ソースと同時進行でパスタを茹で始めておきます。
パスタのグルテンが十分に溶け出た頃合いの茹で汁をフライパンに加えフライパンを小刻みに揺すってソースをとろりと乳化させます。
パスタは表示よりやや早めに上げ、フライパンに移したら手早くあおりソースを吸わせながら煮含めていきます。
もう一度味を見て必要なら塩で味を調整します。
皿に盛って黒胡椒を挽きかけ、バジリコの葉を飾り、オリーブオイルをさっとまわしかければ出来上がり。
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